事業承継・M&A補助金とは?4つの申請枠と活用法を解説【2026年版】
2026-04-05
「後継者がいない」「M&Aを検討しているが費用が心配」「承継後の設備投資に使える補助金はないか」
中小企業の事業承継やM&Aに関するこうした悩みに対して、国が用意しているのが事業承継・M&A補助金(旧:事業承継・引継ぎ補助金)です。
M&Aにかかる専門家費用から、承継後の設備投資、さらには廃業に伴う費用まで、事業承継に関わる幅広い経費が補助対象になります。しかも採択率は約60%と、ものづくり補助金(約35%)と比べて高い水準です。
この記事では、事業承継・M&A補助金の4つの申請枠の違い、補助額、採択のポイントを解説します。
事業承継・M&A補助金の概要
事業承継・M&A補助金は、事業承継やM&Aをきっかけに新たな取り組みを行う中小企業を支援する制度です。2026年度(14次公募)では、以下の4つの申請枠が設定されています。
| 申請枠 | 目的 | 補助上限 |
|---|---|---|
| 事業承継促進枠 | 親族内承継・従業員承継後の設備投資等 | 800万円(賃上げ要件で1,000万円) |
| 専門家活用枠 | M&A時の専門家費用(FA・仲介・DD等) | 600〜800万円 |
| PMI推進枠 | M&A後の経営統合(システム統合・設備統一等) | 150〜1,000万円 |
| 廃業・再チャレンジ枠 | 事業承継に伴う一部事業の廃業費用 | 150万円 |
各申請枠の詳細
① 事業承継促進枠
親族内承継や従業員承継を予定している、または実施した中小企業が対象です。承継後の経営資源を活用した設備投資や販路開拓などに使えます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 親族内承継・従業員承継を予定 or 実施した中小企業 |
| 補助率 | 1/2(小規模事業者は2/3) |
| 補助上限 | 800万円(賃上げ要件達成で1,000万円) |
| 対象経費 | 設備費、外注費、委託費、広告宣伝費 等 |
こんな方におすすめ:
- 事業を引き継いだ(引き継ぐ予定の)後継者が、新しい設備を導入したい
- 承継を機に、新サービスの展開や販路開拓に取り組みたい
② 専門家活用枠
M&Aを実施する際の専門家費用を補助する枠です。FA(フィナンシャル・アドバイザー)や仲介会社の手数料、デューデリジェンス費用、表明保証保険料などが対象になります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | M&Aの買い手 or 売り手 |
| 補助率 | 買い手:1/3〜2/3 / 売り手:1/2〜2/3 |
| 補助上限 | 600〜800万円(DD費用申請時は800万円) |
| 対象経費 | 謝金、旅費、外注費、委託費、システム利用料、保険料 等 |
こんな方におすすめ:
- M&Aを検討しているが、仲介手数料やDD費用が高額で躊躇している
- 会社の売却を考えているが、専門家への相談費用を抑えたい
注意点: FA・仲介費用を申請する場合、当該事業者が「M&A支援機関登録制度」に登録されている必要があります。
③ PMI推進枠
M&A後の経営統合(PMI:Post Merger Integration)に関する費用を補助する枠です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| PMI専門家活用類型 | 統合方針の策定に関する専門家費用(上限150万円) |
| 事業統合投資類型 | システム統合・設備投資等(上限800〜1,000万円) |
こんな方におすすめ:
- M&Aで会社を買収したが、システムや業務フローの統合に費用がかかる
- 統合後のシナジーを最大化するための設備投資を行いたい
④ 廃業・再チャレンジ枠
事業承継やM&Aに伴い、一部事業を廃業する際の費用を補助する枠です。他の枠との併用も可能です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助上限 | 150万円 |
| 対象経費 | 原状回復費、在庫処分費、解体費 等 |
採択率は約60%と比較的高い
事業承継・M&A補助金の採択率は、ものづくり補助金(約35%)と比べて高い水準にあります。
| 枠 | 採択率(直近実績) |
|---|---|
| 事業承継促進枠(旧:経営革新) | 約60% |
| 専門家活用枠 | 約60% |
| 廃業・再チャレンジ枠 | 約36% |
ただし、採択率が高いとはいえ、事業計画書の作成や必要書類の準備は必要です。特に専門家活用枠は、M&Aの類型や経営資源の引継ぎ形態によって提出書類が細分化されているため、事前の準備が重要です。
当社の採択事例
当社では事業承継・M&A補助金の申請支援で採択実績があります。
| 業種 | 枠 | 補助額 |
|---|---|---|
| 建設業 | 専門家活用枠 | 900万円 |
| 建設業 | 専門家活用枠 | 600万円 |
| 製造業 | 専門家活用枠 | 600万円 |
※M&A案件のため、企業名は非公開とさせていただいています。
他の補助金との使い分け
事業承継に関連する投資であっても、内容によっては他の補助金の方が有利な場合があります。
| やりたいこと | 最適な補助金 | 補助上限 |
|---|---|---|
| M&Aの専門家費用を補助したい | 事業承継・M&A補助金(専門家活用枠) | 600〜800万円 |
| 承継後に設備投資をしたい | 事業承継・M&A補助金(事業承継促進枠) or ものづくり補助金 | 800〜4,000万円 |
| M&A後のシステム統合をしたい | 事業承継・M&A補助金(PMI推進枠) | 最大1,000万円 |
| 承継とは関係なく設備投資をしたい | ものづくり補助金 | 最大4,000万円 |
| 新事業への進出を伴う設備投資 | 新事業進出補助金 | 最大9,000万円 |
ポイント: 承継後の設備投資については、事業承継・M&A補助金(事業承継促進枠・上限800万円)とものづくり補助金(上限4,000万円)のどちらかで申請可能です。投資額が大きい場合はものづくり補助金の方が有利になるケースもあるため、最適な補助金の選定が重要です。
申請のポイント
① 認定経営革新等支援機関への相談
事業承継・M&A補助金の申請には、原則として認定経営革新等支援機関による確認書が必要です。当社(RIGID)も認定経営革新等支援機関です。
② 早めの準備
公募期間が短く設定されています(14次公募は2026年2月27日〜4月3日)。GビズIDの取得、必要書類の準備、事業計画書の作成を考えると、公募開始前から準備を始める必要があります。
③ M&A支援機関の登録確認
専門家活用枠でFA・仲介費用を申請する場合、利用する事業者がM&A支援機関登録制度に登録されている必要があります。事前に確認しておきましょう。
よくある質問
Q. 親族内承継でも補助金は使えますか?
A. はい。事業承継促進枠は親族内承継や従業員承継も対象です。ただし、専門家活用枠は第三者への承継(M&A)が対象であり、親族内承継は対象外です。
Q. M&Aがまだ成立していませんが申請できますか?
A. 専門家活用枠は、M&Aの準備段階(FA・仲介の活用、DD実施等)の費用が対象です。M&Aが成立する前でも申請可能です。
Q. 事業承継補助金とものづくり補助金は同時に申請できますか?
A. 同じ設備投資に対して両方の補助金を受けることはできませんが、異なる経費であれば同時に活用できるケースがあります。たとえば、M&Aの専門家費用は事業承継補助金で、承継後の設備投資はものづくり補助金で、という使い分けが可能です。
Q. 採択結果は公開されますか?
A. 事業承継促進枠の採択者一覧は公開されますが、専門家活用枠やPMI推進枠は、M&Aの特性上、採択者は非公表です。
事業承継・M&Aの補助金申請はRIGIDへ
当社は事業承継・M&A補助金の専門家活用枠で複数の採択実績があります。建設業・製造業のM&A案件を中心にサポートしてきました。
ものづくり補助金を含めた全体の採択率は87%(139件中121件)。事業承継に関する補助金選びから事業計画書の策定、採択後の手続きまでトータルでサポートします。
「M&Aを検討しているが、どの補助金が使えるか分からない」「承継後の設備投資に補助金を活用したい」といったご相談もお気軽にどうぞ。