新事業進出・ものづくり補助金とは?統合後の4つの申請枠を中小企業診断士が解説【2026年版】

2026-06-30

2026年度から、これまで別々に運用されてきたものづくり補助金新事業進出補助金が統合され、「新事業進出・ものづくり補助金」として一本化されました。

「制度がなくなるの?」「今までと何が変わるの?」「どの枠で申請すればいいの?」という疑問をお持ちの経営者の方も多いと思います。

結論から言えば、制度がなくなるわけではなく、2つの補助金が1つの制度に整理・再編されたということです。各枠の性格は従来制度を引き継いでいますが、どの枠で申請するかの判断がより重要になりました。

この記事では、統合後の新制度の概要、4つの申請枠の違い、申請のポイントを解説します。


なぜ統合されたのか

統合の目的は、設備投資(旧ものづくり補助金)と新分野・新市場進出(旧新事業進出補助金)を一体運用し、政策資源を集約することにあります。

中小企業庁の資料によると、省力化投資補助金も含めたパッケージとして、総額約3,000億円規模の支援策として再編されています。

これまでは「設備投資ならものづくり補助金」「新事業ならば新事業進出補助金」と別々に申請していましたが、統合後は1つの制度の中で、自社の目的に合った枠を選んで申請する形になります。


統合後の4つの申請枠

統合後の「新事業進出・ものづくり補助金」は、目的別に複数の枠で構成されています。

申請枠 旧制度との対応 主な対象
通常枠(革新的新製品・サービス枠) 旧ものづくり補助金(高付加価値化枠) 革新的な製品・サービスの開発、生産性向上のための設備投資
省力化枠(オーダーメイド) 旧ものづくり補助金(省力化枠) 人手不足対応の自動化・省力化設備
グローバル枠 旧ものづくり補助金(グローバル枠) 海外市場進出・輸出体制強化
新事業進出枠 旧新事業進出補助金 既存事業とは異なる新分野・新市場への進出

同一回の公募で複数枠への申請はできません。 投資内容が複数の枠に該当しうる場合は、補助上限の大きさだけでなく、自社が要件を満たすことを立証しやすい枠を選ぶことが重要です。


各申請枠の特徴

① 通常枠(革新的新製品・サービス枠)

最も汎用的な枠で、生産性向上のための設備投資に幅広く対応します。新製品開発や工程改善、革新的なサービスの開発などが対象です。

旧ものづくり補助金の中心的な枠を引き継いでおり、「自社にとって革新的な取り組み」であることが求められます。

② 省力化枠(オーダーメイド)

人手不足対応の自動化設備に特化した枠です。補助上限が大きい一方、省人化効果を定量的に示すことが必須となります。

ロボット、AI、IoTなどを活用した省力化設備の導入が対象です。「この設備で何人分の作業を削減できるか」を数値で示す必要があります。

③ グローバル枠【補助上限が大幅引き上げ】

海外市場の開拓や、輸出に向けた国内体制の強化を支援する枠です。

統合後の最大の変更点が、このグローバル枠の補助上限の大幅引き上げです。

項目 統合前 統合後
グローバル枠 補助上限 最大3,000万円(特例時4,000万円) 最大7,000万円(特例時9,000万円)

補助上限が2倍以上に引き上げられ、海外展開を視野に入れた大規模投資が現実的になりました。海外子会社の設立、輸出向け製品の開発、インバウンド対応などが対象です。

ただし、グローバル枠は旧制度でも採択率が20%台と他枠より低い傾向があり、専門的な計画書の作成が求められます。

④ 新事業進出枠

旧新事業進出補助金に相当し、既存事業とは異なる新市場や高付加価値事業への進出といった大胆な事業転換が対象です。

補助上限が最大級ですが、新分野性の立証ハードルが高いのが特徴。「既存事業の延長」ではなく「新しい事業領域への挑戦」であることを明確に示す必要があります。

過去の制度の流れから、建物の建設や改修に係る建物費が対象経費に含まれる可能性があります(詳細は公募要領で確認が必要)。

代表的な事例: 自動車向けの金属部品を製造していた事業者が、長年培ってきた精密加工技術を応用し、新たに医療機器分野や航空宇宙産業向けの部品製造事業へ参入する、といったケース。


統合後の主な変更点

① 新事業進出枠の新設

既存事業から離れた新分野展開も、ものづくり補助金の体系の中で申請できるようになりました。

② 賃上げ要件の強化

事業場内最低賃金の引き上げに加えて、給与支給総額の年率増加が加点や別枠評価の条件になっています。

③ DX・GX関連投資の重点化

AI・IoT・脱炭素設備への投資が加点項目に追加されました。デジタル化・脱炭素に取り組む企業が有利になっています。

④ 事業計画期間の標準化

3〜5年の中期事業計画の提出が求められます。単年度の投資計画ではなく、中期的な成長ストーリーが必要です。

⑤ 口頭審査(プレゼン)の重視

書面審査を通過しても、オンラインでの口頭審査で「経営者の主体性」が認められないと採択されません。経営者自身が事業計画を語れることが重要です。


申請枠の選び方

投資の目的 選ぶべき枠
革新的な製品・サービスを開発したい 通常枠
人手不足を自動化設備で解消したい 省力化枠
海外市場に進出したい・輸出を強化したい グローバル枠
既存事業とは異なる新分野に挑戦したい 新事業進出枠

ポイント: 自社の設備投資の目的が「革新的な製品開発」なのか、「新市場・新事業への進出」なのか、「海外展開」なのかを見極めることが第一歩です。既存事業との関係性(延長線上か、新たな事業領域か)を整理し、一貫した成長ストーリーを構築したうえで最適な枠を選びましょう。


採択率の見込み

直近の旧制度の採択率は、ものづくり補助金の高付加価値化枠が30%台、新事業進出補助金(第1回)が37.1%でした。一方、グローバル枠は20%台にとどまっています。

統合後の新制度の採択率は初回公募の結果が出るまで不明ですが、これまでの傾向から、グローバル枠は審査が厳しくなることが想定されます。

統合後の初回公募は申請が集中し、倍率が上昇する可能性があります。 早めの準備が重要です。


申請の流れ

統合後の申請プロセスは、基本的に従来のものづくり補助金を踏襲しています。

Step 1:GビズIDプライムの取得(2〜3週間)

Step 2:公募要領の精読と申請枠の選定

Step 3:事業計画書の策定(3〜5年の中期計画)

Step 4:見積もりの取得

Step 5:jGrants電子申請

Step 6:書面審査

Step 7:口頭審査(プレゼン)

Step 8:採択発表・交付申請

Step 9:事業実施・実績報告

締切3日前には申請を完了させるのが鉄則です。 締切直前はシステムが混み合い、不備に対応する時間も必要です。


よくある質問

Q. これまでのものづくり補助金はもう使えないのですか?

A. 「ものづくり補助金」という制度がなくなるわけではなく、「新事業進出・ものづくり補助金」の中に統合されました。従来のものづくり補助金で対応していた設備投資は、統合後の「通常枠」で引き続き申請できます。

Q. 統合で申請は難しくなりましたか?

A. 審査基準が一本化され、これまで以上に事業計画の整合性・実現可能性が厳しくチェックされる見通しです。特に口頭審査(プレゼン)の重視や、3〜5年の中期計画の提出など、計画の完成度が問われます。

Q. 自動車整備業でも申請できますか?

A. はい。自動車整備業の設備投資(エーミング設備、リフト、塗装ブース等)は通常枠で申請できます。新たなサービス展開を伴う場合は新事業進出枠の対象になることもあります。

Q. どの枠で申請すべきか分かりません。

A. 投資の目的によって最適な枠が異なります。当社では、お客様の事業内容と投資計画をヒアリングした上で、最も採択可能性の高い枠をご提案しています。

Q. 賃上げ要件を達成できなかったらどうなりますか?

A. 計画で掲げた賃上げ目標を達成できなかった場合、未達成率に応じて補助金の返還を求められることがあります。実現可能性の高い賃上げ計画を慎重に策定することが重要です。


新事業進出・ものづくり補助金のご相談はRIGIDへ

当社は旧ものづくり補助金で採択率91%(32/35件)、旧事業再構築補助金(新事業進出補助金)で100社以上の支援実績があります。統合後の新制度でも、これまで蓄積したノウハウをそのまま活かせます。

「どの枠で申請すべきか」「自社の投資計画が要件を満たすか」「口頭審査の対策をしたい」といったご相談から対応しています。統合後の初回公募は申請が集中することが予想されますので、早めの準備をおすすめします。

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