【2026年度】経営展開サポート事業が「創意工夫チャレンジ促進事業」へ変更!補助率最大4/5・3コース制を解説

2026-02-27


「ものづくり補助金の代わりに使える東京都の補助金」として人気を集めてきた経営展開サポート事業。この制度は2025年度に「経営基盤強化事業」へリニューアルされましたが、2026年度にはさらに大きく進化し、「経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業」として生まれ変わります。

予算規模は103億円、採択予定数は合計1,300件。従来の1コース制から3コース制に拡充され、補助率も最大4/5(実質負担わずか20%)まで引き上げられる見込みです。

この記事では、経営展開サポート事業・経営基盤強化事業との違い、3つのコースの内容、業種別の活用パターン、そして他の補助金との使い分けまで、中小企業診断士が詳しく解説します。

※本記事は2026年1月30日公表の東京都令和8年度予算案に基づく速報です。正式な公募要領は2026年度に公表予定のため、内容が変更される可能性があります。最新情報は東京都中小企業振興公社の公式サイトをご確認ください。


経営展開サポート事業・経営基盤強化事業はどう変わってきたのか?

東京都の中小企業向け設備投資・経営改善の補助金は、近年大きな進化を遂げています。まずは制度の変遷を整理しましょう。

年度 制度名称 補助上限 補助率 コース
令和6年度(2024年) 経営展開サポート事業 800万円 2/3 1コース
令和7年度(2025年) 経営基盤強化事業 800万円 2/3 一般コース+小規模事業者向けアシストコース
令和8年度(2026年) 創意工夫チャレンジ促進事業 最大1,000万円 最大4/5 3コース(業務改善・新市場進出・賃上げ促進)

2024年度の「経営展開サポート事業」は、ものづくり補助金の代替として多くの東京都内事業者に活用されました。2025年度にはそれが「経営基盤強化事業」として小規模事業者向けコースが追加され、さらに2025年12月には賃上げ重点コースも新設されています。

そして2026年度、東京都は中小企業支援の方針を「危機への対応」から「成長のための投資」へと大きくシフト。予算103億円を投じる「創意工夫チャレンジ促進事業」として、補助上限・補助率・コース設計のすべてが大幅にパワーアップします。

なお、経営展開サポート事業・経営基盤強化事業で交付決定を受けた事業者は、次年度の同種事業に申請できない制約があります。 2025年度に経営基盤強化事業を利用していない事業者は、2026年度の新制度を活用するチャンスです。


新制度「創意工夫チャレンジ促進事業」の全体像

項目 内容
正式名称 経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業
予算規模 103億円(令和8年度予算案)
コース 3コース(業務改善・新市場進出・賃上げ促進)
補助上限 最大1,000万円(新市場・新分野進出コース)
補助率 2/3〜最大4/5(小規模事業者+賃上げ)
採択予定数 合計1,300件(業務改善700件・新市場進出100件・賃上げ促進500件)
対象者 東京都内の中小企業・個人事業主
特徴 全コースに専門家による伴走型支援が付帯

最大の特徴は、すべてのコースに専門家派遣がセットされている点です。計画策定から事業化までの一貫したサポートを受けられるため、初めて補助金を活用する事業者にとっても取り組みやすい制度設計になっています。


経営展開サポート事業・経営基盤強化事業・創意工夫チャレンジ促進事業の比較

「以前の制度と何が違うの?」という方のために、3制度を横並びで比較します。

項目 経営展開サポート事業(R6) 経営基盤強化事業(R7) 創意工夫チャレンジ促進事業(R8)
補助上限額 800万円 800万円 最大1,000万円
補助率 2/3 2/3 2/3〜最大4/5
コース 1コース 一般+アシスト+賃上げ重点 3コース(業務改善・新市場進出・賃上げ促進)
採択予定数 非公表 非公表 1,300件
予算規模 非公表 非公表 103億円
対象経費 機械装置・システム構築費・外注費・広告宣伝費・家賃等 同左(小規模コースは一部制限) 公募要領にて確定予定
専門家支援 あり あり あり(全コース)
申請方式 Jグランツ電子申請 Jグランツ電子申請 公募要領にて確定予定

特に注目すべきは補助率の引き上げです。経営展開サポート事業・経営基盤強化事業では一律2/3だった補助率が、新制度の賃上げ促進コースでは最大4/5に。1,000万円の設備投資であれば実質負担がわずか200万円になります。


3つのコースを詳しく解説

設備導入等による業務改善コース

項目 内容
補助上限額 600万円(予算案ベース)
補助率 2/3
採択予定数 700件(3コースで最多)
想定される取組 新しい設備・システムの導入による既存業務の効率化・品質向上

3コースの中で最も採択枠が大きく、旧制度の「既存事業の深化」に近い位置付けです。現行の経営基盤強化事業(一般コース)で申請していた内容の多くは、このコースに該当すると考えられます。

活用例: 製造設備の更新による生産性向上、業務管理システムの刷新、顧客管理システムの導入、店舗の高効率機器導入など。

新市場・新分野進出コース

項目 内容
補助上限額 1,000万円(予算案ベース)
補助率 2/3
採択予定数 100件(最も狭き門)
想定される取組 新しい製品・サービスの開発、新市場への参入

旧制度の「既存事業の発展」をさらに拡張したコースです。補助上限は3コース中最高の1,000万円ですが、採択枠は100件と限定的。その分、挑戦的な取り組みが高く評価される可能性があります。

活用例: 自社の技術力を活かした新サービスの開発、AIやメタバースを活用した新事業の立ち上げ、新規顧客層へ向けたプラットフォーム構築など。

賃上げ促進コース

項目 内容
補助上限額 600万円(予算案ベース)
補助率 最大4/5(小規模事業者の場合)
採択予定数 500件
想定される取組 設備投資による業務改善+従業員の賃上げの実施

今回の新制度で最も注目すべきコースです。設備投資と賃上げをセットで実施することで、補助率が最大4/5まで引き上げられます。

現行の経営基盤強化事業でも2025年12月から「賃上げ重点コース」が追加されましたが、新制度ではこれがさらに本格化。「設備で生産性を上げて、その成果を従業員の待遇改善に還元する」という、経営改善の王道を補助金で後押しする仕組みです。

活用例: システム導入で業務を効率化し、浮いた人件費を既存スタッフの給与引き上げに充てる。高性能機器の導入で品質向上と作業時間短縮を両立し、残業削減と給与増を実現するなど。


業種別・活用パターン

経営展開サポート事業(現・経営基盤強化事業)は業種を問わず幅広い事業者が活用できるのが大きな特徴です。新制度でも同様に、東京都内の中小企業であれば業種に関わらず申請が可能と見込まれます。

以下、業種別の活用イメージをご紹介します。

IT・システム開発業

既存の受託開発に加え、自社プロダクト(SaaS、アプリ等)を開発して新市場に進出するケースは、新市場・新分野進出コースが最適です。AI活用やメタバース等、先端技術を用いた新サービスの開発にも使えます。

製造業

高精度な製造設備の導入による品質向上・生産性改善は、業務改善コースで対応可能です。多品種少量生産に対応するための新型設備の導入なども対象になります。

サービス業(美容・エステ・サロン等)

顧客管理システムの導入による予約・売上管理の効率化、FC展開に向けた業務標準化のためのシステム構築などが活用例として挙げられます。

医療・歯科

最新の医療機器の導入による診療メニューの拡充(例:歯科のCT導入によるインプラント治療の実現)は、業務改善コースまたは新市場コースの両方で検討できます。

小売・EC・古物

在庫管理・出品管理システムの導入、オンライン販売チャネルの構築などが対象です。ECの効率化は業務改善コース、新たなマッチングプラットフォームの構築は新市場コースが適しています。

教育・スクール

オンライン学習システムの開発、学習管理システム(LMS)の構築などは、新市場コースで申請可能です。対面型の事業をオンラインに拡張するケースにも活用できます。


当社の採択実績(経営展開サポート事業)

当社RIGIDでは、経営展開サポート事業で幅広い業種のお客様の採択をサポートしてきました。以下、実際の採択事例です。

No. 採択内容 活用のポイント
1 整理券発行システムの開発 店舗オペレーションの効率化
2 ヘルスケア健康サービスの開発 新市場への進出
3 企業向けメタバースの開発導入 先端技術を活用した新事業
4 歯科向けCT装置の導入 最新設備による診療メニュー拡充
5 会員向けシステム構築による生産性向上 業務効率化・顧客管理の改善
6 私書箱システムの開発導入 サービスのデジタル化
7 マップGPSシステムの開発 自社技術を活かした新サービス
8 車両盗難防止GPSの開発 IoT技術を活用した新製品開発
9 サロンFC向け顧客管理システム開発 FC展開に向けた業務標準化
10 パーソナライズ絵本コンテンツ開発 コンテンツ事業の新規立ち上げ
11 製造業向け樹脂成型機の導入 製造設備の高度化による競争力強化
12 プログラマー学習管理システム開発 教育事業のオンライン展開
13 AIコンシェルジュの開発 AI技術を活用した新サービス
14 出品管理システム(古物通販) ECオペレーションの効率化
15 ビジネスマッチングサイト開発 プラットフォーム型新事業

ご覧のとおり、IT・製造業・医療・教育・サービス業と業種は多岐にわたります。「システム開発」から「設備導入」まで、設備投資の内容も様々です。

この幅広い採択実績があるからこそ、「うちの業種・うちの取り組みでも申請できるのか?」というご相談に、具体的な事例をもとにお答えできます。


ものづくり補助金・省力化補助金との使い分け

東京都の事業者は、国の補助金と都の補助金の両方を検討できます。それぞれの特徴を比較しました。

創意工夫チャレンジ促進事業(東京都) ものづくり補助金(国) 省力化補助金 一般型(国)
対象地域 東京都限定 全国 全国
補助上限 最大1,000万円 最大4,000万円 最大8,000万円
補助率 2/3〜4/5 1/2〜2/3 1/2〜2/3
求められるもの 創意工夫による経営力強化 革新的製品・サービスの開発 省力化効果+オーダーメイド性
対象経費 設備費・システム費・外注費・広告費・家賃等(幅広い) 機械装置・システム構築費等 機械装置・システム構築費等
申請の手間 比較的軽い 事業計画書の作り込みが必要 事業計画書の作り込みが必要
専門家支援 あり(全コース付帯) なし なし
審査方式 書類審査+面接審査(前身制度) 書類審査のみ 書類審査のみ

使い分けのポイント:

投資額1,000万円以下で、東京都内の事業者の場合: 補助率が最大4/5と高く、専門家支援も付帯する創意工夫チャレンジ促進事業が最有利になる可能性があります。対象経費も広告宣伝費や家賃まで含まれるため、システム開発+プロモーションといった組み合わせも可能です。

投資額が1,000万円を超える場合: 補助上限の大きい国の補助金(ものづくり補助金・省力化補助金)が適しています。

なお、都の補助金と国の補助金は同一の設備投資に対して重複受給はできませんが、異なる設備・異なる取り組みであれば組み合わせ活用も可能です。「どの補助金が自社に最も有利か」の判断は投資内容によって変わるため、専門家への相談をおすすめします。


申請に向けて今から準備すべきこと

正式な公募要領は未公表ですが、前身制度の要件から推測される準備事項をまとめます。公募開始後にスムーズに申請できるよう、今のうちに着手しておきましょう。

① 直近の決算書を確認する

前身制度では「直近決算期の営業利益が減少、または損失を計上していること」が要件でした。新制度でも同様の要件が設定される可能性が高いため、自社の決算状況を確認しておきましょう。

② 投資計画を具体化する

「何の設備・システムを」「いくらで」「何の目的で」導入するかを整理しておくことが重要です。複数コースの候補がある場合は、公募要領の公表後に最適なコースを選べるよう、複数パターンで準備しておくのが理想です。

③ 賃上げの可能性を検討する

賃上げ促進コースは補助率が最大4/5と圧倒的に有利です。設備投資を予定している場合、あわせて従業員の賃上げを実施できないか検討しておくと選択肢が広がります。

④ GビズIDを取得する

前身制度ではJグランツによる電子申請が必須でした。GビズIDプライムの取得には1〜2週間かかるため、まだ持っていない場合は今すぐ申請しておきましょう。GビズID公式サイトはこちら

⑤ 面接審査の準備を意識する

前身制度では書類審査に加えて面接審査がありました。新制度でも面接審査が実施される可能性が高いため、「なぜこの投資が必要か」「どのような効果が見込めるか」を経営者自身の言葉で説明できるよう準備しておくことが重要です。


よくある質問

Q. 経営展開サポート事業はもう申請できないのですか?

A. 2024年度の「新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業」は申請受付を終了しています。2025年度は後継の「経営基盤強化事業(一般コース・アシストコース・賃上げ重点コース)」が実施中です。2026年度は「創意工夫チャレンジ促進事業」に移行する見込みです。

Q. 経営基盤強化事業と創意工夫チャレンジ促進事業の両方に申請できますか?

A. 前身制度では、交付決定を受けた事業者は次年度の同種事業に申請できない制約がありました。2025年度に経営基盤強化事業で交付決定を受けている場合、2026年度の新制度に申請できない可能性があります。正式な要件は公募要領でご確認ください。

Q. 東京都以外の事業者でも申請できますか?

A. 本事業は東京都内の中小企業・個人事業主が対象です。都外の事業者は、国の補助金(ものづくり補助金、省力化補助金、事業承継補助金など)の活用をご検討ください。

Q. どんな業種でも申請できますか?

A. 前身制度では業種の制限はなく、IT業・製造業・医療・サービス業・教育業など幅広い業種が採択されていました。新制度でも同様に、業種を問わず申請できると見込まれます。当社でもシステム開発から設備導入まで15件の採択実績があります。

Q. いつ頃公募が始まりますか?

A. 現時点では未確定です。経営展開サポート事業は2024年4月、経営基盤強化事業は2025年5月に公募が開始されました。新制度も都議会での予算可決後(2026年4月以降)に公募が始まると見込まれます。

Q. 補助率4/5を受けるには何が必要ですか?

A. 賃上げ促進コースに申請し、小規模事業者に該当する場合に最大4/5の補助率が適用される見込みです。具体的な賃上げ要件は公募要領で確定されます。

Q. 面接審査はありますか?

A. 前身制度(経営展開サポート事業・経営基盤強化事業)では書類審査に加えて面接審査が実施されていました。新制度でも同様の審査方式が採用される可能性が高いです。当社では面接対策のサポートも行っています。

Q. システム開発の外注費も対象ですか?

A. 前身制度では委託費・外注費が助成対象に含まれていました。自社で開発できない部分を外部のシステム会社に委託する費用も、助成対象となる可能性があります。新制度の対象経費は公募要領で確定されますが、同様の経費区分が設定されると見込まれます。


東京都の補助金申請はRIGIDへ

当社は経営展開サポート事業で15件の採択実績があり、IT・製造業・医療・教育・サービス業と幅広い業種の申請をサポートしてきました。

新制度「創意工夫チャレンジ促進事業」への移行にあたっても、最新情報をいち早くキャッチし、最適なコース選びから事業計画書の作成、面接対策までトータルで支援いたします。

また、「東京都の補助金と国の補助金、どちらが有利か?」「うちの取り組みはどのコースで申請すべきか?」といった補助金選びの段階からご相談いただけます。 中小企業診断士の有資格者が、お客様の事業内容に合わせた最適な補助金活用プランをご提案します。

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